FAQ
皆様からよくいただく質問とその回答をまとめています。
① 自然栽培には定まった統一基準はあるのでしょうか?
現状、自然栽培には全国的な統一基準等はなく実際には生産者により異なります。農薬・化学肥料を使わなければ、自然栽培という考える人もいますし、種まきと収穫以外は何も手を加えないで自然に任せることを自然栽培(自然農法)と考える人もいます。西川農藝では自然栽培の定義を定めてその基準に沿った方法で作物を栽培しています。詳しい西川農藝の自然栽培の定義は”こだわり”をご参照ください。西川農藝は木村式自然栽培の提唱者である「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則氏の農法を採用しています。西川農藝が所在する鳥取県には木村式自然栽培の普及及び啓発を目的としたNPO法人鳥取県木村式自然栽培実行委員会が存在し西川農藝代表である西川真が所属し日々栽培技術向上のため研鑽しております。
② 自然栽培でつくった作物って本当に体にいいの?
一般論としていえば、自然栽培の作物は抗酸化物質、ビタミン、ミネラルなどが豊富といえると思います。また、硝酸態窒素の濃度は極めて少ない傾向があります。しかし、自然栽培といえど、生産者、畑、気象条件など千差万別ですから残念ながら絶対的なことは申し上げられません。全国各地の農業試験所や大学は興味深い栽培試験をおこなっています。その様な試験の中には自然栽培の特徴である無肥料がどう作物に影響するかを推察できる試験があります。肥料の投与量を変化させて植物の有効成分にどう影響するかという試験していますが、結果の一例として以下のようなことが報告されています。
・ ごまの有効成分セサミンと肥料投与量の関係を調べた試験では、最も無肥料がセサミンが多いと報告されています。
(肥料投与量とセサミン含有量は反比例の関係で肥料が多いほどセサミンは減ります。)
報告されている試験結果は”こだわり”の最下部に示しています。
・ 岐阜県産業技術センターによるえごまの葉に含まれる抗酸化成分ロズマリン酸の含有量と肥料投与量の関係を調べた試験では、最も無肥
料がロズマリン酸が多いと報告されています。
(こちらの試験も肥料投与量と抗酸化成分は反比例の関係で肥料が多いほど抗酸化成分は減ります。)
③ 動物性堆肥を使うと土が良くなるのでは?
土質を良くするために動物性の堆肥を使用することが奨励されていますのでその様にお考えになられて当然だと思います。自然栽培においても完熟であれば動物性堆肥の使用を完全否定するわけではありません。しかし、動物性堆肥のもとである牛や豚の糞は生育環境の影響を受けます。餌となる飼料は遺伝子を組換えたトウモロコシや大豆、さらに遠い海の向こうから運ぶため腐敗しないようポストハーベスト農薬が投与されています。ストレスのたまる狭い厩舎の中で飼育されて病気の蔓延を防ぐための抗生物質、生育を早めるための成長ホルモン剤等が多量に投与されています。また、完熟していない堆肥は硝酸態窒素を多量に含んでいます。硝酸態窒素の値は欧米では規制の対象となっています。その理由は、多量の硝酸態窒素はブルーベビー症候群で知られる症状を発症する可能性が指摘れており人体に有害な可能性があるからです。また、地下水の汚染源となっています。栽培の面からみても多量の硝酸態窒素は病害虫を呼び込む原因であることが分かってきています。質問④の回答にに詳しく示しておりますが、動物性堆肥などの人為的投与は自然の循環を阻害します。この様な理由により動物性堆肥は一切使用しません。
④ 本当に肥料なしで作物は育つの?
作物を育てるには肥料が必要というのが一般的な通説でした。しかし、近くにある山には緑が生い茂っているかと思いますが肥料を与えているでしょうか。西川農藝の作物の生育状況はFacebookにも投稿していますので確認してみてください。立派に育っています。肥料に限らず動物性堆肥などを人為的に投与すると自然が自然に土壌を豊かにする自然のメカニズムが阻害されることが最近の研究で分かってきました。その一つの証明が人の手が入らなくなり自然を徐々に取戻した耕作放棄地です。耕作放棄地は痩せてなどいません(もともと条件が悪く痩せている畑が耕作放棄地化している例が多いことが耕作放棄地は痩せているの誤解の原因になっているようです)。人間が何もしないことで自然のメカニズムが働き土は肥沃になります。農家は耕作放棄地で新たに作物を作る時、土が痩せているから堆肥をたくさん入れて肥料もたくさんあげなければいけないとは考えません。土は肥沃になっているだろうから肥料を入れるかどうかは様子を見ようとなります。それに、農薬や肥料の投与は植物の生理作用を弱めます。また、肥料を与えないことで植物はその生命力を発揮して栄養を求めて根を広く深く土にはります。自然の神秘は奥深くその仕組みの解明にはまだまだ時間がかかることと思われます。近年ようやく神秘のカギは微生物の存在によるものではないかと分かってきたところです。ただし、肥料を投与しなければ収穫量が減ります。無肥料でも問題なく作物は育ちますが農薬・化学肥料等を使用して栽培した場合と比較して7割から8割程度の収穫量となります。
⑤ すべて無農薬なの?
原料の栽培には農薬を一切使用していません。原料を栽培する畑では西川農藝が耕作するようになってからは一切農薬を使用していません。しかし、法的に「無農薬」を謳うことは出来ないので農薬不使用または類似する表現となっています。また、お酢や木酢液などのいわゆる自然農薬も使用していません。西川農藝の畑には農薬に弱いとされるミツバチがたくさん飛び回っています。ですので、少しばかりハチミツを分けてもらおうと、巣箱を設置していますがハチは残念ながら入ってくれません・・・。ごま、えごま、菜種などの花のハチミツをいつか皆様にお届けしたいと考えておりますが、いつになるかは分かりません・・・。農薬の一種である除草剤も使わないため、夏農作業のほとんどは草刈と草取りです。夏は草の夢を見るほどです(笑)!
⑥ マルチなどの化学合成資材は農作業で使用していますか?
マルチや防草シートなどの畑を被覆してしまうような化学合成資材は使用しておりません。出来る限り畑が自然に近い状態を維持できるようにするため金属や化学製品などの資材を畑で使用することは極力控えております。農作業上必要な杭、ロープなどで一部金属やプラスチック製の資材を使用することがあります。
⑦ 原料の乾燥は乾燥機を使うより天日干しが良いのでは?
天日干しには以下のような様々な問題があります。
・乾燥中に雨に当たると原料にカビが発生したり発芽してしまう可能性があります。
・天日干しでは自然任せのため乾燥不足や過乾燥の可能性があり適切な原料の保存ができません。
・原料は鳥の大好物でつまみ食いまでは許容範囲ですが糞をしたりします。(鳥の糞は車の塗装を溶かしてしまうほど強力な酸性です!)
・虫が入り込んでしまうと取り除くことが困難です。虫の糞はさらに取り除くことが困難です。
・直射日光により原料が日焼けしてしまう可能性があります。
いかがでしょうか? 上記の理由を読まれても天日干しが良いとお考えになられますか?これらは全て西川農藝も初期の段階に経験しました。結果、一生懸命育てた原料を捨てざるをえなくなったこともあります。このような理由があるので原料の洗浄後は直ちに送風乾燥機で乾燥させます。大きな扇風機で風を原料に当てて乾かすとイメージしていただけれ良いと思います。湿度との兼合いにもよりますが気温が15℃未満で送風だけでは原料が充分に乾燥しないときにのみ送風乾燥機の設定温度を上限25℃で設定して温めた空気を送風することがあります。(これまでのところ、乾燥機は送風のみで加温して使用した実績はありません。)
お断りしておきたいのは、天日干しを完全に否定しているのではありません。特に、収穫後追熟登熟するような作物については望ましいということがあると思います。あくまで、ごま、えごま、菜種のような追熟登熟の効果の見込めず不純物が混ざると取り除くことが困難な粒の小さな油糧種子の乾燥方法の問題です。
⑧ 原料の仕入れ及び委託搾油は受け付けていますか?
大変申し訳ありませんが外部からの原料の仕入れは一切行っておりません。原料は自家農園産100%であることが西川農藝のこだわりでありお客様との重要なお約束の一つであると考えています。また、委託搾油も一切受け付けておりません。原料保管所または搾油工房に西川農藝以外で栽培された原料の混入を防ぐためです。何卒、西川農藝の方針をご理解いただければ幸いです。自家農園の定義は”こだわり”をご参照ください。
⑨ 低温圧搾生搾りのなにが良いのですか?
皆様、よくご存知の通り熱が加わると良くも悪くも食品は変化します。西川農藝では搾油のメインの工程となる圧搾だけでなくその前後の工程も含めて全ての工程において熱を加えず低温で処理しています。なぜならば生命力の強い自然栽培原料をダイレクトに感じていただきたいからです。西川農藝が搾油する原料は生きています。原料となる種子は充分に乾燥させることで休眠しているだけで、適切な水分と酸素と温度があれば発芽します。つまり生きています。対して、高温を加えられた原料は生を持たない存在となってしまいます。原料となる種子に蓄えられた油分は発芽時のエネルギー源です。植物の発芽の瞬間をみれば感動します。あの小さな種子のどこにこんな力があるのだろうと。蓄えた油は人間で例えれば赤ちゃんが健やかに育つための母乳のようなものかもしれません。そんな植物たちの貴重なエネルギーをダイレクトに感じることが出来るのが低温圧搾生搾りです。また、搾油後の脱酸・脱臭・脱色などの化学的精製処理は行いません。その理由は、原料となる植物に由来する豊かな栄養分と風味を大事に出来るからです。そして、西川農藝が本当に良いと考える「原料由来の豊かな風味と栄養を含んだ安心安全な植物油」と密接にかかわっています。安心安全の側面でみれば油は温度が10度あがると2倍のスピードで酸化(=劣化)します。特に30℃を越えると劣化が急速に始まるとされています。ですから、加熱による有害な物質が生成されることもありません。豊かな栄養の側面でみれば植物油に含まれるビタミンなどの脂溶性栄養成分を壊すことなく取りだすことができます。風味の側面でみれば原料に由来する豊かな風味を引出しクセのない素直な美味しい植物油になります。クセがなく料理素材の味わいを邪魔したり喧嘩したりすることなく料理全体を円やかにうまくまとめながらうま味とコクを加えてくれる油です。低温圧搾生搾りの定義はこだわりをご参照ください。
⑩ 自然濾過(無濾過)の植物油はないのですか?
植物油を濾過しないという方法がありますね。特にオリーブオイルの世界ではフィルター派(濾過派)とノンフィルター派(無濾過派)が生産者にも消費者にいるようです。西川農藝はより繊細な完全生搾り植物油のみの取扱いであるため基本的には濾過派です。澱を濾過して除くことで瓶詰め後の保存中に雑味が出たり品質劣化を防ぎたいと考えているからです。しかし、西川農藝も実は無濾過には無濾過の良さがあるのでこれまでも検討してきました。無濾過の一番の良いと思う点は多少は濾過により取除かれてしまう栄養素も漏らさず取り込めることだと考えます。風味に関しては充分な澱の自然濾過のための沈殿静置期間を取ったものであれば無濾過とは微妙に異なる風味が楽しめます。ただし、賞味期限の設定は濾過タイプの1/2とさせていただきます。また、生産の基本は濾過タイプのためあまりお待たせしないよう努力いたしますがお届けにはお時間をいただくこともあります。賞味期限及びご予約後のお届けにかかる日数をご理解の上、ご予約下さい。まずは電話やメールでお問合せいただきたく存じます。
⑪ ごま油にあまり風味を感じられないのですが?
その理由は製油中一切熱を加えない完全非加熱生搾りだからです。新鮮な活きのいい魚であれば火を入れて調理するより刺身でシンプルに召し上がるのが一番美味しいいただき方ではないでしょうか。発想は同じです。生命力あふれる自然栽培ごまの良さをストレートに感じていただくための生搾りです。焙煎したごま油が主流の日本・韓国・中国などの東アジア文化圏を除けば生搾りごま油は世界的には主流のタイプです。東アジア文化圏でも「太白ごま油」等の名称で存在しています。英語名のカナ表記で「セサミオイル」と呼ばれることも多いようです。欧米では、「Sesame is known as the Queen of oild seeds(ごまは油糧種子の女王)」呼ばれています。言葉を変えれば、欧米では主流の生搾りごま油は種子を原料とする植物油の”女王”と言えるのでないでしょうか。国内に出回るごま油は圧倒的に焙煎したタイプのごま油が多く生搾りタイプに馴染みがない場合、いつもの焙煎ごま油と比べて風味が弱いと感じられるかもしれません。しかし、ワインのティステイングの要領で口に含んで舌の上で転がしてみてください。完全生搾りならではのごまの凝縮された滋味深いうま味が感じられるはずです! あくまで繊細で、そして女王のような品格のある上品な風味が身上のごま油です!! 調味料的に使うには弱い風味ですが、料理素材の風味を邪魔することなく引出しうま味とコクを加えて料理全体を円やかにうまくまとめてくれます。強い主張があるわけでもないのに料理に埋没してしまうこともなく存在感があるのが何とも不思議な生搾りごま油の魅力であります。素材を活かしながら料理を上品に仕上げることができるのでプロの料理人達は多用しています。また、天婦羅の名店などでは焙煎したごま油の風味が強すぎる場合、生搾りごま油を足して割ることで味わいを整えています。生搾りなのでサラッとして軽く飲むこともできます。良質の必須脂肪酸であるリノール酸とごま由来のセサミンなどの抗酸化物質を体に取り入れるため毎日スプーン1杯摂取される方もいるようです。スプーン1杯のごま油を飲むのは実は西川農藝のごま油の美味しさを実感していただくため一度はお試しいただきたい食べ方です。レシピをご参考にされる際は、「生搾りごま油」または「太白ごま油」で調べていただくとよいかと思います。
付け加えると、一般に市販されている太白ごま油(生搾りごま油)は活性白土を用いて脱色、また高温処理で香りを取り除いているケースが多いです。その様な太白ごま油(生搾りごま油)と比較して西川農藝の完全生搾りごま油は風味は若干強く色調は黄金色をしている違いがあります。
⑫ ごま油(その他の植物油)はマッサージやスキンケアに使えますか?
インドの伝統医術「アーユルヴェーダ」では生搾りごま油をマッサージに使うようですね。書籍や雑誌でごま油を使用したマッサージを目にすることがあります。しかし、西川農藝は食用油脂製造業の免許は取得しておりますが、化粧品等の製造に係る免許は取得しておりません。あくまで食用が基本です。もし、我々がマッサージやスキンケアに使用可能ですと認めるとお上からお咎めを受けます(笑)!マッサージやスキンケア目的にご使用される場合は、自己判断及び自己責任でお願いいたします。
因みに、オイルプリング(生搾りごま油を使ったうがい)については何とも言えません。食用油だからいいような・・・・。ということで、こちらも自己判断・自己責任でお願いします!