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この数年で食に関する常識で最も様変わりしたのは油だと言われています。ついこの前まで良いとされていた常識が悪いということになったりその逆もあったりで戸惑うばかりです。そんな油について真面目に考えてみたいと思います。

数年前は常識とされながら最近常識が大きく変わった例:

・マーガリンは植物性だから動物性のバターより良いとされていたのが、今では「食べるプラスチック」とまで言われ海外では禁止する国も出てきた。

・サラダ油製造中に生成されるトランス脂肪酸は「狂った油」と呼ばれ、生活習慣病、アレルギー、認知症などの原因といわれるようになり、国民の健康を守るだけでなく増加を続ける医療費対策のためにも海外では規制する国も出てきた。

・ひと頃は体に良いとされていたリノール酸が悪玉にされ、名前も聞いたこともなかったα-リノレン酸が注目を浴びるようになった。

・脂質は高カロリーで肥満の元凶から脂質は実はそれほど太らない。

・販売されているオリーブオイルの80%は偽物。

ほんの数例あげるだけでも訳が分からなくなりそうです。。。

 

油について考えて欲しい5つのポイント

① 利用法(調理法・料理法)

② 油脂の摂取

③ 植物油に含まれる栄養成分

④ 製油法

⑤ 原料

⑥ 購入と保存の留意点

①と②に関しては書籍やネットなど情報が氾濫しているので関心が高いように思われます。翻って③④⑤⑥はというと関心が低い分野だと思われます。物事には2面性があります。あちらを立てればこちらが立たずということは植物油の世界でもたくさんあります。そして、世の中にはたくさんの植物油が販売されています。③④⑤⑥は生産者がどの様な油をつくりたいという意思表示でもあります。ということは、消費者がどの様な植物油を選択するかの判断材料になるということです。

① 利用法(調理法・料理法)

この分野についてはたくさん書籍などが出ています。レシピなどネットを検索すればいくらでも出てきます。それぞれの料理には定番的な植物油があります。でも、あまり定番にこだわる必要はないのではないかと思います。そもそも味覚は人それぞれ。同じ食卓を囲む家族、一人の個人だってその日の気分や体調で変わるもの。色々な料理を色々な植物油で試してみることで料理の幅が広がる。そして、新発見という楽しみがある!

 なので、油の調理における基本的機能と油を使った料理の豆知識を述べるにとどめたいと思います。

臨界温度

植物油というと高温調理に耐えるというのが一般的なイメージではないでしょうか。しかし、実は植物油は高温にそれ程強いわけではありません。それぞれの植物油のは臨界温度というものがあり、臨界温度を超えると人体に有害な物質を生成します。美味しさも重要ですが、特に揚げ物をされる際などには気をつけていただきたいポイントです。以下は臨界温度の一例です。

植物油のタイプ (生搾り/焙煎)

植物油には色々な種類がありますが、実際の料理での使用法は植物油名または原料よりも製油法で考えた方がより適切な場合があります。「生搾り」タイプと「焙煎」タイプでは風味がかなり異なります。両方のタイプを揃えておくとお料理によって使い分けたり、両タイプを合わせることで調整すること出来ます。

② 油脂の摂取

 この分野も書籍やネットでの情報がありふれています。ただ、あふれる情報はあまりにも単純化して伝えているのではないかと思われます。一つのポイントは〇〇油というだけでなく、ちょっと難しいですが脂肪酸にまで分解する必要があるのではないでしょうか。あとは、分解した脂肪酸をそれぞれどの程度取ればよいのかということ。例えば、最近話題のえごま油。まるでえごま油さえ摂取していれば健康になって生活習慣病も予防されるという感じです。万能薬といったような空気です。しかし、やはり重要なのはバランス。同じく必須脂肪酸であるリノール酸とバランスを取ることで健康が維持できます。

 まず油の基本的機能について下の表のようにまとめました。カロリーが高く肥満の原因になると植物油を敬遠していると体は不調を訴えることになるでしょう。

脂肪酸について

​脂肪酸は下表に示す通り色々な種類があります。それぞれの性質も異なり体の中で果たす役割も異なります。各植物油には一定の範囲でおおよその脂肪酸の構成があります。えごま油といえばα-リノレン酸、オリーブオイルといえばオレイン酸ですがそれだけで構成されているわけではありません。

​西川農藝の植物油

(外部食品検査機関に委託して調べた数値です)

(2016年産原料での検査結果です)

​資料: 財団法人 日本油脂検査協会

​たくさんある脂肪酸ですが、ここでは特に3種を取り上げます。植物油の脂肪酸の中でも構成比率が大きく重要性の高いα‐リノレン酸(オメガ3)、リノール酸(オメガ6)、オレイン酸(オメガ9)について取り上げます。

​最近の傾向としてα-リノレン酸とオレイン酸を多く摂ろう、対してリノール酸を悪玉視する傾向があるように思います。しかし、リノール酸は必須脂肪酸であるということを忘れないでください。質の良くないリノール酸の過剰摂取が問題なのです。α-リノレン酸とリノール酸がバランスを取ることで体の中で機能しています。

必須脂肪酸が欠乏した場合に起こる症状:

・皮膚の乾燥

・関節炎などの炎症

・神経系の障害

・免疫障害

・インポテンツ

・月経前症候群

等々

​脂質の適正摂取量

​脂質だけでなく、糖類、タンパク質など食事の摂取基準を厚生労働省が定めています。詳しくは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準をご参照ください。以降は、本基準に基づいて脂質のみを取り上げます。年齢、性別、体型、活動レベルなどにより摂取基準は異なります。ここで取り上げるのは以下の通りとします。

 

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」によれば油脂から摂取するエネルギー量は総摂取カロリーの20~30%が望ましいとしています。油脂は1g当り9.21calになるので油脂の一日当たりの適正摂取量は以下の通りと算定できます。20~30%と幅があるので中間値の25%で算出しています。尚、時折みかける大きな誤解に油脂の種類によりカロリーが異なるかのような表現がありますが、全ての油脂は1g当り9.21kcalです。ただし、脂肪酸ごとに体内で燃焼する順序に違いはあります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」ではさらに必須脂肪酸であるオメガ3系(α-リノレン酸他)、オメガ6系(リノール酸他)については具体的な数値で、また飽和脂肪酸については総カロリーの7%を適正とし1日当たりの摂取量を以下の通り定めています。

※飽和脂肪酸: 主に動物性油脂で常温では固体。体に蓄積されて体脂肪になりやすい。また、血液をドロドロにしやすい。

脂肪酸の適正摂取量の補足事項

・書籍等で以下の指標が示されていますが、厚生労働省のガイドラインと概ね一致しています。

  オメガ3系&オメガ6系  30%

  オメガ9系         40%

  飽和脂肪酸       30%

・オメガ3系とオメガ6系の適正なバランスは1:3~1:4と示されることが見受けられますが厚生労働省のガイドラインと概ね一致しています。

・最も難しいのは「見えない油」です。食材には量の多寡はあれ油脂分が含まれています。また、仕上がり状態しか分からない外食・中食もみえない油です。摂取する油脂分が植物油のように具体的に見えていれば問題ありませんが、気付かないところで人は多くの油脂を摂取しています。あまり神経質になるのも考えものですが意識しておくことが必要だと思われます。見えない部分の油脂の性質には不安があるので見える部分については出来るだけ良質な油を取り入れることを良いのではないかと考えられます。

各植物油と脂肪酸適正摂取量との比較

肉類に多く含まれる飽和脂肪酸と飽和脂肪酸を除いた2つのパターンで適正とされる脂肪酸摂取量と各植物油の脂肪酸構成を比較すると以下の表のようになります。

トランス脂肪酸について

欧米やお隣韓国では禁止もしくは表示義務化となっています。FAO(国際連合食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)は総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告しています。その理由は、メタボ、ガン、心疾患、糖尿病、不妊症、うつ、認知症など多くの病の原因になっていることが研究の結果わかってきたからです。しかしながら、日本では国民の平均摂取量はFAO/WHOが勧告している基準より低いということで現在のところ何の規制もありません。

動物性のトランス脂肪酸と異なり、植物油のトランス脂肪酸は自然界にもともと存在するものではなく、人為的な処理によって生成されます。マーガリンのように植物油を固型化する際に水素を添加するため、もしくは植物油を製油中の脱臭等の工程において高温で処理することにより生成されます。残念ながら市販の安価な油脂にはトランス脂肪酸は含まれていると考えるのが妥当でしょう。また、外食で使われている油にも相当量トランス脂肪酸が含まれていると考えるのが妥当でしょう。

​③ 植物油の栄養成分

植物油はただの油の塊ではありません。丁寧に採油された植物油には原料に由来する​豊かな美味しさのもとや栄養成分が溶けこんでいます。この豊かな成分を忘れてしまっては植物油を取り入れることの意味が半減してしまいます。製法によっては賞味期限を延ばすために敢えてこの豊かな成分を取払ってしまいます。取払われた成分はサプリや食品添加物、化粧品など多様な用途で使用及び販売されていたりします。何故、豊かな成分を取払ってしまうのかというと加熱した際に泡立ちの原因になったり、長い時間が経過すると植物油の品質劣化要因にもなるからです。植物油にはどの様な有効成分が含まれているのか取り上げたいと思います。内容は簡潔にまとめます。

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンは以下の4種類。

・ビタミンA: 網膜細胞の保護作用や光刺激反応に重要なビタミン。欠乏すると乳幼児では失明に至ることもある。成人でも夜盲症になる恐れがある。また、欠乏すると成長阻害や骨や神経系の発達阻害もあらわれる。

・ビタミンD: カルシウムやリンの吸収を促進し骨の形成と成長を促す。欠乏すると小児ではくる病、成人では骨軟化症となる。

・ビタミンE: トコフェロールとも呼ばれる天然の抗酸化成分。欠乏すると不妊、脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーを引き起こす懸念がある。

・ビタミンK: 血液の凝固を促進、骨形成の調整、動脈の石灰化の抑制などの働きをする。不足すると骨折リスクの増大、血液凝固の遅延などがある。精製油では脱臭過程で減少し酸化安定性が低くなる。

リン脂質 (レシチン類)

細胞膜の主要構成成分。レシチンの不足は疲労、免疫力低下、不眠、動脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着などを引き起こす。他の物質と結びつくことで抗酸化作用を持つ。精製油では澱の原因や泡立ちの原因になるという理由で除去される。

植物性ステロール

コレステロールの吸収を抑制し、血中コレステロールを低下させる。精製油では脱臭中に除去される。

リグナン類

油糧種子ではゴマに含まれるゴマリグナンが良く知られている。抗酸化による老化防止、肝機能の活性化に寄与する。

ポリフェノールやクロロフィルなどの色素類

オリーブオイルに含まれるポリフェノールは抗酸化作用があります。菜種油に含まれるクロロフィルは発ガン防止、コレステロールの低下などの作用があります。​しかし、これらの色素成分は光に反応すると植物油を劣化させる原因にもなります。精製油では脱色過程で除去されます。色付き瓶などで光を遮断することで劣化を抑制することができます。

④ 植物油の製法

植物油には色々な製法があります。大きく分けて物理的方法と化学的方法がある。

・物理的方法: 小規模な製油所で行われる物理的な方法で搾油する昔ながらのシンプルな方法

・化学的方法: 大規模な製油所で行われる溶剤などを使用し近代的な化学的処理で製油する方法

・折衷型:   中堅規模の製油所で行われている上記2種類の方法を織り交ぜた製油法

製油工程は大きく分けて3段階に分けることができます。

(1) 前処理:   採油率を高めるための処理。

(2) 採油:      主に圧搾と抽出がある。 原料から油を取りだす。

(3) 後処理(精製): 採油された植物油から残留物等を除去。

以下の図は可能な限り物理的製油法と化学的製油法を一般化したもので実際には製造者や商品によって異なります。

​物理的製油法

化学的製油法

​菜種、ごま、えごま、ひまわり、椿等

原料

原料

​菜種、大豆、とうもろこし、綿実等

​焙煎の強弱により風味をつける (生搾りでは省略)

​焙煎

​脱皮

​原料から種皮を剥ぎ油の抽出効率を高める。また、油脂以外の成分を減らし精製を効率化する。種皮に含まれる成分が結果的に除かれる。

​原料を細かくし油の抽出を容易にする

​圧編

​原料を温め適度の湿りを与えることで採油率を高める

​蒸煮

​加熱

​調湿

​コンディショニングという工程で熱と湿度を加えることで次の圧扁を容易にする。

​圧扁󠄀

原料をフレーク状にすることで細胞壁を破壊し出油を容易にすると共に次の工程で使う溶剤が原料に満遍なく混ざるようにする。

​圧搾

​圧搾

​抽出

​主に2通りの圧搾法がある

①玉締式: 連続作業ができず不効率だが摩擦熱がなく綺麗な油になる。

②エキスペラー式: 連続作業ができ効率が良いが摩擦熱が発生する。

圧搾法/抽出法以外の採油法

遠心分離機: 現在の良質なオリーブオイル生産の主流 

臨界ガス抽出法: 植物油の世界ではあまり実用化されていない

​油分が多い菜種などの原料はエキスペラー式圧搾機で油を搾ります。

​油分が多い菜種などの原料は圧搾後、更に油を抽出するため。また、大豆などの油分が少ない原料は抽出のみとなります。

ノルマンヘキサンという危険物に分類される溶剤を使用します。

​脱ガム

​温水を加えてリン脂質を除去

​脱酸

​リン酸/苛性ソーダ用いて有利脂肪酸を除去し石鹸分を除去

​物理的製油法を採用する比較的規模の大きい製油所が行う。油とお湯を混ぜ油と水の比重の違いを利用してお湯に不純物やリン脂質等を絡ませて沈めて除去する。残った水分は加熱して除去。

【湯洗い】

​不純物や油に溶け切らない澱を取り除く。伝統的には和紙を用いるがフィルターを用いる方法もある。澱をあえて残す無濾過という方法もある。

​濾過

​直売所で見かける昔ながらの油。工程がシンプルで物理的手法のみなので植物由来の風味と栄養分が豊富に残っている。原料は地場産で農家から搾油業者が仕入れるか農家が搾油業者に委託して生産されているケースが多い。

​脱色

​活性白土を用いてクロロフィルなどの着色成分を除去

​脱ロウ

​冷却しロウ分を除去

​脱臭

​高温の水蒸気を吹きかけ揮発性成分を除去する。この工程でトランス脂肪酸が生成される。天然の抗酸化物ビタミンEが除去される。

​濾過

​精密濾過。製油に利用した溶剤などの不純物を除去する。

​添加

天然の抗酸化物質を除去しているので酸化防止剤、また安定剤、消泡剤、着色料などを添加する。

スーパーなどで見かける一般的にサラダ油と呼ばれる食用油の製造方法。化学的手法を用いて極限まで歩留り(採油率)と賞味期限を高められた油。安価で品質は一定している。原料はほぼ輸入に頼る。

植物油の規格

日本における植物油の規格にはに食用植物油脂の日本農林規格(通称JAS規格があります。主に化学的製油法で製油された植物油が対象となり物理的製油法で製油された植物油とは適合していません。

 

⑤ 原料

植物油の原料は多岐に渡ります。原料が良質であれば良質の植物油になる可能性は高いでしょう。原料の氏素性を知ることでよりお好みやお考えに沿った植物油を選択できるかと思われます。

輸入原料について考えるべきポイント

(1) 遺伝子組換え原料表示: 現時点では遺伝子組換え原料を使用していても表示義務は植物油にはありません。食用油にはタンパク質が残らずDNAが検出できないことがその理由です。

(2) 遺伝子組換え食用油: 菜種油、大豆油、コーン油、綿実油が遺伝子組換え原料を用いた食用油の可能性が高いと思われます。

(3) ポストハーベスト農薬: 日本では収穫後の作物に農薬を使用されることは禁止されています。しかし、原料を輸入する国によっては収穫後も農薬を使用することが許されている国もあります。また、海外からの長い輸送中に腐敗することのないよう使用していることがあります。

(4) フェアトレード: 特に発展途上国から輸入される原料について考えるべきポイントです。現地の人を搾取するような極端な低価格で原料を購入しているか否かについて考慮する必要があるかもしれません。

(5) 環境破壊: 貴重な森林を燃やして畑にして原料を栽培しているなどのケースがあるとされます。また、原料を輸入するために船舶の運航のために多量の燃料が投入されていることも考慮する必要があるかもしれません。

国産原料について考えるべきポイント

作物の栽培にも色々な農法があります。どの農法で作物を栽培するかにより作物に違いがあるとされます。しかし、生産者の取組や気候にも影響されるため絶対的差異を明確にすることは残念ながら難しいことです。現在、以下のような農法で植物油の原料となる作物は栽培されています。。

(1) 慣行栽培: 農薬・化学肥料を使う農法

現状では最も広く普及している栽培法。地域ごとに農薬や化学肥料の使用量が決められています。現在、市場に出回る作物の大半は慣行栽培に生産された作物です。食の安定供給の視点では大きく貢献している農法といえます。

(2) 特別別栽培(特栽): 農薬・化学肥料の使用を半減した農法

慣行栽培で定められた地域の慣行レベルと比較して農薬及び化学肥料の使用を半分以下に抑えた農法。半分以下が基準なのでなので8割削減であっても特別栽培という。都道府県等が認証する。現実に起こりえるかどうか不明であるが、あくまで地域の慣行基準がベースとなるのでA県の慣行レベルがB県の慣行レベルの半分だとするとA県の慣行栽培はB県の特別栽培と農薬及び化学肥料の使用量は変わらないということがありえる。

(3) 有機栽培: 農薬・化学肥料を使用しないで有機資材のみを投入する農法

有機栽培の世界は複雑です。有機栽培と表示するには外部機関からの認証が必要です。有機栽培の世界は複雑で誤解が多いと考えられます。有機栽培には思想などの違いから以下の3つのタイプに分類できるのではないかと思われます。

タイプ1.  思想的に自然の循環などを重視するよりも単純に農薬・化学肥料を有機質に変えただけというタイプ。このタイプは収量増進のために自然や植物が消化・分解しきれないほどの動物性の肥料や堆肥を多投入する傾向があり、結果的に硝酸態窒素が多く人体の健康を阻害したり地下水汚染などの原因になっている。そして、野菜は不自然なほど緑が濃くえぐみが、米はタンパクが多く食味に劣る傾向があります。

タイプ2.  後述する自然農法/自然栽培と近い思想で自然の循環や関わりを重視し、肥料や堆肥の投入は極力少ないタイプです。

タイプ3.  タイプ1もしくは2に分かれる。認証を得ることのできるレベルの栽培を行っているが、面倒な認証手続きを避けるため認証を得ていないタイプ。「有機」表示はできない。

有機栽培における誤解: 多い誤解であるが完全無農薬・完全無機質肥料ではなく認証を得た有機栽培においても使用可能な農薬や無機質肥料もある。

(4) 自然栽培・自然農法: 外部からの資材投入なく自然の循環を重視する農法

認証機関が現状存在していないため実際には多様で混沌としている。外部の認証等は現在存在していないため自己申告となる。思想的には自然の循環を重視する点では一致するが、農薬・化学肥料を使用しなければ良いと考えるタイプもあれば、種蒔きと収穫以外は何もしないという極端なタイプにまで分かれる。多くの生産者は、農薬・化学肥料だけでなく、有機質肥料及び動物性堆肥も使用しない。自然栽培・自然農法といっても統一された基準がないため相当バラツキがあるので気になる場合は直接生産者に具体的方法について問合せてもよいかもしれません。

農薬使用に関する表示について

​「無農薬」の表示は有機栽培の認証を得た生産者だけが使用できます。「栽培期間中農薬・化学肥料不使用」または類似する表現を見かけますが、制度上このような表現しか許されていないことによるものです。

原料の調達について

製油業者が原料をどの様に調達しているかは製油業者が良質の植物油を生産するためにどの程度原料に対してこだわりを持っているのかを示す一つの目安になります。主に以下の4方式があります。また、その組合せもあります。

(1) 自家(自社)農園: 製油業者が自分の所有または借受けている農地で原料を栽培します。欧米の良質のワインやオリーブオイルの生産者には一般的な形態です。特にオリーブオイルなどの果実系原料はフレッシュであることを要求されることから畑と製油所が近いことが理想となるため普及した形態であると考えられます。特に良い原料を産出する畑ではシングルエステート(単一畑)といい畑名をつけて植物油が販売されるケースがあります。

(2) 市場調達: 特に決まった原料生産者から購入するのではなく市場から購入するケース。

(3) 契約栽培: 特定の原料生産者と栽培法、買取量、価格などを予め契約して原料を調達するケース。

(4) 委託加工: 製油業者が原料生産者などから委託を受けて製油するケース。委託者の名前で販売される。

 

⑥ 購入及び保存の留意点

製造を経て容器に充填されてからの植物油の購入時や保存について考察します。製造段階を経て物流や小売店・飲食店での扱いを含みます。

下記についてあまり神経質になりすぎれば植物油を使用して料理することも出来ないことなります。あまり神経質になるのは考え物ですが長期に渡っての劣化要因は避けるようにしてください。

植物油を酸化(=劣化)させる要素と対処法

■ 酸素: 酸素に触れることで油脂は劣化します。特に、α-リノレン酸やリノール酸のような不飽和脂肪酸は酸素に触れることで酸化が進みます。

→ 容器の中に酸素がになるべく入らないよう植物油とあわせて窒素ガスなどを充填する。大手メーカーの商品であればこの処理がなされています。

→ 容器のふちまで植物油が充填されていれば容器内の酸素は少なくなり保存中に植物油が酸素に触れる表面積が小さくなるので酸化を防げます。しかし、開封時にこぼしたり温度が上昇して油が膨張する恐れがあるので容器に隙間なく充填することは望ましくない。一見でわかることもありますが、容器を斜めに傾けることでよりどれくらいの気体が容器内に含まれているか識別できます。

→ 特殊加工されていないプラスチック容器は気体の透過性があるので、ガラスや金属などの容器が望ましい。

→ 開封後は出来るだけ早く使用する。開封から概ね1~2ヶ月で使い切るサイズの植物油を購入する。

■ : 植物油のラベルには「直射日光を避けて保存」というような表示があります。太陽光だけでなく照明の光でも劣化が進みます。

→ 金属製の容器では光を遮るという点では大変優れています。

→ 着色瓶などの着色容器であれば光を遮るので劣化が抑えられます。

→ 植物油の充填された容器が箱などで更に包装されていると光が遮断されまます。

→ 小売店などで光が照射されているような棚に並べられた商品は避ける。

■ 温度: 植物油は温度が10℃上昇すると2倍のスピードで劣化するとされています。

→ 小売店などでの陳列を含めて保存は出来るだけ低い温度が望ましい。

→ キッチンでの保存場所は火の回りなどを避ける。

→ 熱に極めて弱いα-リノレンを多く含むえごま油などを通販で購入する場合は夏季はクール便を用いる。

■ 金属: 銅が特に酸化の触媒となる。その他、鉄、マンガン、ニッケル、コバルトなどが酸化の触媒となる。

→ 植物油が鉄や銅に触れることを避ける。もしく出来るだけ短い時間にする。

■ 湿気・水分: 加水分解が起こり酸化を促進する。

→ 湿気・水分は避けて保存する。

→ 調理時でも不必要な湿気や水分との接触は避ける。

→ 開封後は出来るだけ早く使い切る。開封後、容器に混入する空気に湿気が含まれている可能性があるためです。開封から概ね1~2ヶ月で使い切ることのできるサイズの植物油を購入する。 

参考文献

監修 藤田鉱一郎  2015  危ない油と健康になるオイル  株式会社英和出版社

監修 守口徹 関口絢子  2015  健康になる!体にいい油  株式会社宝島社

シャンタル・クレルジョウ リオネル・クレルジョウ  2012  美容と健康のための植物オイルハンドブック  株式会社東京堂出版

浜島守男 太田昌男  1996  油屋さんが書いた植物油の本  株式会社山水社

監修 神村義則  2013  食用油脂入門 株式会社日本食糧新聞社

著者・監修多数  2004  特集地あぶらに火がついた  現代農業  社団法人農村漁村文化協会

著者・監修多数  2013  特集地あぶら・廃油・ガソリンスタンド「むらの油」を宝に育てる  社団法人農村漁村文化協会   

  

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